「自炊をしないと食費は節約できない」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。一人分の調理は、食材を使い切る難しさや光熱費・時間といった見えにくいコストが重なることもあり、自炊しない方が支出が落ち着くケースもあります。
この記事では、単身世帯の食費の目安と、自炊しない暮らしで食費を抑えやすい買い方・組み合わせ方を5つ紹介します。
自炊が必ずしも節約にならない3つの理由
「自炊=節約」のイメージは根強いものの、一人分の食事では当てはまらない場合もあります。
自炊が節約になるかどうかは、料理に慣れているか、食材を使い切る計画が立てられるか、買い出しと調理の時間を確保できるかなど、個人のスキルや生活リズムにも左右されます。
料理スキルや管理スキルがある方にとっては自炊が節約になる一方で、そうでない場合は食材ロスや光熱費がかさみ、かえって食費が膨らむこともあります。
ここからは、食材ロス・光熱費・時間の3つの観点から、自炊しない方が合理的になりうるケースを順に見ていきます。
一人分では食材を使い切りにくい
スーパーで売られている食材は、少量パックよりも通常パックの方がグラム単価は安くなる傾向があるため、節約のつもりで内容量が多いものを選ぶ方もいます。
しかし、一人で消費しきれずに傷ませてしまえば、その分は捨てることになり、結果として割高な買い物になってしまいます。
食材費だけでなく光熱費もかかる
自炊にかかるコストは、食材費だけではありません。
当たり前のことですが、コンロの火を使えばガス代、電子レンジや炊飯器を使えば電気代、洗い物には水道代がかかります。一回ごとには小さな金額でも、毎日積み重なると食費の一部として無視できない金額になります。
買い物・調理・片付けに時間がかかる
自炊は、買い物・調理・片付けの全工程を合わせると、一食あたりに使う時間が思った以上に長くなります。献立を考える時間、スーパーまで往復する時間、調理する時間、食器を洗って片付ける時間。これらを合算すると、一食の準備に1時間以上かかることも珍しくありません。
料理そのものが気分転換になる方もいますが、人によっては、自炊の時間を仕事や副業に振り向けることで収入が増えたり、休息に充てた時間が翌日のパフォーマンスにつながったりして、自炊しないことでかかる食費の上乗せ分以上にメリットが大きくなるケースもあります。
単身世帯の食費の目安と内訳
単身世帯の食費の平均は、自分の食費を見直す際の参考値になります。ここでは、総務省の家計調査をもとに単身世帯全体の食費平均を確認したうえで、自炊しない場合に金額が膨らみやすい食事と抑えやすい食事を見ていきます。
一人暮らしの食費の平均額
総務省「家計調査(家計収支編)」によると、2025年の単身世帯の食料費は月平均44,659円となっています。この数字は単身世帯全体(年齢・性別を問わない平均)です。自炊の有無によって分けられているデータではなく、食材購入の費用や調理食品・外食・飲料まですべてを含む総額の平均となっています。
食費としてかかる費用は住んでいる地域や働き方によっても異なるため、あくまでも目安として知っておきましょう。
出典:総務省統計局「家計調査(家計収支編)2025年平均結果の概要」
食費が膨らむ買い方・抑えやすい買い方
同じ「自炊しない」でも、食事の調達先によって食費は変わります。コンビニやカフェ、外食といった調達先に偏ると、一食あたりの単価が高めになりやすく、月の食費も上がりやすい傾向があります。
一方、スーパーの惣菜や冷凍食品、パックご飯の活用なども選択肢に入れると、一食あたりの単価が抑えやすくなります。
「自炊しない=コンビニや外食」と思い込まずに、食事の調達先を複数持っておくと、自炊しないけれど食費が膨らみすぎない暮らしに近づきやすくなります。
自炊しない人の節約方法5選
ここからは、自炊しない人が食費を抑えるための具体的な方法を5つ紹介します。
買う場所の選択や組み合わせ方、そして外食時の工夫など、観点の異なる方法を取り上げているので、合いそうなものから試してみましょう。
スーパー惣菜と冷凍食品を主軸にする
自炊しない暮らしで食事の中心になる選択肢のひとつが、スーパーの惣菜と冷凍食品です。コンビニや外食を中心にする場合と比べると、一食あたりの単価が抑えやすくなります。
スーパーの惣菜は、種類も主菜・副菜・サラダ・揚げ物まで幅広く揃っています。また、夕方以降になると、その日に作った惣菜に値引きシールが貼られる店舗も多いため、半額前後で買えるケースもあります。総菜の種類によってはまとめ買いしておいて、冷凍保存するといった方法もとれます。
冷凍食品は、賞味期限が長く買い置きできるため、買い物の頻度自体を減らせます。チャーハン・パスタ・グラタンなどの主食系から、ハンバーグや焼き魚などの主菜まで揃っているため、温めるだけで一食分が成立します。
どちらもスーパーまで足を運ぶ手間はあるものの、行くタイミングを「週に1〜2回」と決めておけば、その間の食事は冷蔵庫と冷凍庫から組み立てる形になるため、コンビニに毎日寄る暮らし方と比べると、月単位の支出に差が出やすくなるでしょう。
パックご飯と総菜を組み合わせる
パックご飯と惣菜を組み合わせる方法は、調理の手間を増やさずに「ご飯+おかず」の食事を整えやすい選択肢です。「米を炊くのは負担に感じるが、惣菜だけだと食事として物足りない」という場合の選択肢として持っておくと、食事の組み立てが楽になります。
ただし、単価の面では自分で炊く方が抑えやすい傾向があります。光熱費を含めて比べても、米から炊いた一杯あたりの金額は、パックご飯1食分の金額より低くなる場合が多いです。そのため「ご飯を炊くくらいなら無理なくできる」「炊飯と保存の手間は許容できる」という場合は、ご飯だけ自分で炊いた方が節約につながりやすいでしょう。
炊飯・保存・洗い物などの作業が負担に感じる場合は、パックご飯の手軽さが優先されるかもしれません。作業の負担感と単価のどちらを優先するかで、選び方は変わってきます。
宅配弁当・冷凍宅配食を週数回取り入れる
冷凍宅配食はまとめて届くため、一度の発注で1〜2週間分の食事を確保できます。自宅まで届くため、スーパーまで足を運んで重い荷物を持ち帰る必要がなく、買い物に出る回数自体を減らせる点が利点です。毎食使うのではなく「週に何回か」という形で取り入れてみても良いでしょう。
主菜・副菜・野菜の組み合わせが整っているものも多いため、献立を考える手間そのものが省けます。
買い物先と決済をまとめる
食べるものの選び方だけではなく、買う場所や決済方法の選び方でも節約につなげられます。
購入場所を1~2か所に絞ったり、決済方法をまとめておくだけで、買い物の際に迷うことも減らせる上、ポイントがたまりやすくなったり食費として使った費用の確認が簡単になるでしょう。
外食時のクーポン・アプリを活用する
外食する際は、公式アプリのクーポンや決済アプリの活用で、一回あたりの支払い額を抑える方法があります。
チェーン店の多くは公式アプリを出しており、定期的にクーポンが配信されています。会計時にアプリを提示するだけで割引が受けられたり、ドリンク無料券がもらえたりします。よく使う店があれば、その店のアプリを入れておくと、外食する場面での支払い額を抑えやすくなるでしょう。
自炊しない節約で気をつけたい点
節約を最優先にすると、いかに安いかを考えて食事を選択してしまう可能性があります。しかし、価格だけを基準に似たような惣菜やコンビニ食を選び続けると、味の変化が乏しくなって満足感が下がったり、栄養が偏りやすくなったりするかもしれません。
食費の節約は、月単位・年単位で続けてはじめて効果が見えるものです。短い期間だけ頑張って続かなくなれば、節約効果も限定的になります。だからこそ、「安いから」だけで選ばず、「自分の体調や好みに合うか」「無理なく続けられそうか」といった視点も大切です。
まとめ
自炊をしないことは、必ずしも食費の節約と相反するものではありません。一人分の調理にかかる食材ロス、光熱費、時間を考えると、自炊しない方が家計をトータルで見た際に節約になる、という人もいることでしょう。
ただし、自炊せずに節約を試みる場合は、購入場所や何を選ぶかといった点に配慮が必要です。スーパーの惣菜や冷凍食品を中心に据えたり、買い物先と決済方法を1〜2か所に絞ったりするなど、価格・体調・好み・続けやすさのバランスを見ながら、自分の生活リズムに合いそうなものを試してみましょう。