毎月の支出を見直してもなかなかお金が貯まらないとき、その背景には支出が増える理由がいくつも重なっている場合があります。理由が一つだけなら対処もしやすいのですが、性質の異なる原因が同時に存在していると、どこから手をつければよいか見えにくくなっているかもしれません。
この記事では、お金が貯まらない理由を性質ごとに3つのグループに分けて示し、そのうえで、生活を切り詰めるのではなく無理なく続けられる改善策を紹介します。
お金を貯められないよくある理由
金融経済教育推進機構の調査によると、40歳代の単身世帯のうち、運用や将来への備えとしての金融資産を持っていないと回答した世帯は約3割にのぼるそうです。貯蓄が思うように進んでいない状況は、特別なことではないと言えます。
お金が貯まらない理由は一つとは限らず、性質の異なるものが重なっている場合があります。この記事では、その理由を次の3つのグループに分けて示します。
- 日々の小さな支出の積み重ね
- 毎月決まって出ていく支出が多い
- お金の流れの仕組みそのものに原因がある
ここからは、この3つのグループを一つずつ取り上げ、それぞれにどのような支出が含まれるかを見ていきます。すべてが自分に当てはまるとは限らないので、思い当たるものを探しながら読み進めてみましょう。
出典:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」単身世帯 https://www.j-flec.go.jp/data/kakekin_2024/
日々積み重なる小さな支出
1回ごとの金額が小さい支出は、それ単体では家計への影響を感じにくいものです。ただ、少額なため記録に残りにくく、月単位の合計がいくらになっているかが見えにくくなっているかもしれません。
このような「小さな支出」には、以下の3つのような原因が考えられます。
気晴らしの買い物が習慣になっている
仕事や日常のなかで疲れがたまると、その解消のために買い物をする、という人もいるでしょう。しかし、気分を切り替える手段としての買い物が定着してしまうと、実際にそれが必要な買い物や出費なのかとは別の基準で支出が発生するようになります。
こうした買い物は、1回ごとの金額が大きいとは限りません。ただ、買う回数が増えていくと、月単位の合計では無視できない額になっていくケースも少なくないです。
時には気晴らしや気分転換の買い物が必要なこともあるでしょう。大事なのは、その気晴らしを習慣化させないことです。
ご褒美が当たり前の出費になっている
仕事を乗り切ったときや何かを達成したときなどに、「自分へのご褒美」として出費することもあるでしょう。普段は買わない「ちょっといいもの」を買ったり、旅行やエステを「ご褒美」の名目で予約したり。
そういった特別な出費は、日々の仕事や生活を乗り切っていくためには、必要なものかもしれません。
しかし「ご褒美」を繰り返しすぎると、月の出費が予想外にかさんでしまうケースもあります。
もし仕事などのやる気を出すためにご褒美を設定する場合は、1回あたりの予算ではなく、月ごとで予算を決める方法がおすすめです。そして、あくまでも「特別な出費」として認識しておきましょう。
付き合いや贈り物の出費が続く
人付き合いに関連して発生する支出には、必要なものと、惰性で続いているものが混在しています。まずは年間を通して、どのくらいの費用を人付き合いに費やしているか、可能な範囲で書き出してみましょう。
冠婚葬祭などやむを得ないものは節約の対象から外してかまいませんが、惰性で続いている年賀状やお歳暮などの贈り物などがあるなら、本当に必要か、見直しても良いかもしれません。
また、気の進まない飲み会や食事会などへの参加も、「なんとなく」で続けているだけなら、一度見直してみることをおすすめします。完全に不参加に振り切らなくても、参加頻度を減らしてみるなど、自分にとって心地よい距離感を探してみましょう。
人付き合いに関する出費は、金額だけでははかれない部分もありますが、自分にとって払う価値のある出費かどうかを一通り見直してみると、削れる出費が見つかるかもしれません。
毎月決まって出ていく支出
毎月決まった額が自動で出ていくものでも、その内容を見直すことで支出を抑えられるケースがあります。反対に、契約時からプランなどの見直しを行わず、契約したままにしていると、もっと安くできるものに対して高い金額を払い続けることになるケースもあり、これがお金の貯まらない原因となることも、少なくありません。
具体的に、毎月の決まった支出のなかで、お金が貯まらない原因となりやすいのが以下の2つです。
固定費を見直さないままでいる
光熱費や通信費、保険などは、契約した時点の料金プランやサービス内容のまま続いていることが少なくありません。そのうえ料金を銀行口座から自動引き落としされるように設定している場合は、金額を改めて確認する機会も少ないです。
しかし固定費はまとめるとそれなりに大きな金額となることもあり、見直さないまま払い続けると家計に与える影響も大きくなります。
契約の見直しや手続き等を面倒に感じるかもしれませんが、
毎月自動で処理されて目に触れにくいからこそ、いま契約中の固定費がいくらで、何に入っているのかを一度書き出してみることが、状況を把握する手がかりになります。
使わないサブスクを払い続ける
動画配信やアプリの有料プランなど、月単位で課金されるサービスは、使用頻度が下がっても解約という操作をしない限り課金が続きます。
一つひとつの月額は数百円から千円程度でも、複数のサービスが数か月にわたって積み重なると、見逃せない金額になっていきます。
現在契約しているサービスが本当に全部必要か、一度見直してみても良いでしょう。
また、解約までは至らないものの、使用頻度が減っていて下位プランがある場合は、契約変更するだけでもいくらかの節約になります。
お金の流れにある原因
お金が貯まらない原因は、個別の支出だけにあるとは限りません。お金の入り方や貯め方の流れそのものに原因がある場合、日々の支出に気をつけるだけでは変わりにくくなります。
そのなかでもよくある原因が、下記の2つです。
収入が増えると支出も増えやすい
昇給や賞与、臨時収入などで収入が増えると、その分だけ生活費も増額するケースがあります。それ自体が悪いことではありませんが、収入の増額に出費の増額が見合っているかどうかは、よく確認しましょう。
食事や住まい、ふだんの買い物に少しずつ上乗せしていくと、一つひとつは納得して使うお金でも、合計では収入の増加分を超えていきます。こうなると、収入は増えても手元に残る額は変わらないどころか減ってしまう可能性もあります。
そのため、収入が増えたときは、増えた額のうちどれだけを支出に充て、どれだけを残すのかをあらかじめ決めておくと良いでしょう。
どのくらいの生活の質を理想としているかにもよりますが、収入が増えても支出を増やさない、という方法もあります。
貯金を後回しにする習慣がある
「使って余ったら貯める」という順番でお金を使っている場合、貯金にあてられる額が、その月の支出しだいで変わります。そのため、支出が少なかった月は残る額も多くなりますが、支出が多かった月は、残る額がわずかになったり、ゼロになったりします。
この習慣では貯まるペースが月ごとにばらつくため、年間でいくら貯まるかも見通しにくく、貯まりやすいとは言えません。
無理なくお金が貯まる習慣の作り方
お金を貯めやすくするには、お金の扱い方そのものを変える方法があります。
日々こまめに節約を意識し続ける方法もありますが、設定や手続きを変えることで、その後の負担を増やさずに続けられます。
ここでは、先取り貯金、使う口座と支払い方法を絞ること、固定費の見直しの3つを取り上げます。それぞれ、何をどう変えるのかを順に見ていきます。
先取りで貯金の仕組みを作る
給与から自動で一定額をよける「先取り貯金」は、お金を「使って余ったら貯める」ではなく「先に取り分けてから使う」へ入れ替える、貯金を後回しにしないための仕組みです。
自分で貯金用の通帳に入金する方法のほか、勤務先の財形貯蓄や銀行の自動積立サービスを使って貯めることができます。
はじめから大きな金額を設定せず、まずは無理のない範囲で続けてみましょう。
使う口座と支払い方法を絞る
使う口座と支払い方法を絞ると、お金の出入りが見えやすくなります。
複数の銀行口座を持ち、現金・複数のクレジットカード・複数のQR決済を場面ごとに使い分けていると、お金の出入りの記録が何か所にも分散します。どこにいくらあり、何にいくら使ったかを把握するだけで手間がかかる状態です。使っていない口座やカードを解約し、日常の支払いをメインの一つに寄せると、支払い履歴が一か所にまとまります。
また、使用するクレジットカードや決済方法を絞ることで、支払い履歴がまとまります。月にいくら使ったかだけでなく、何に対する支出が多いかも確認しやすくなるでしょう。
さらに、決済方法によっては利用ポイントを得られるケースもあるため、使うものを絞ることでポイントの分散も防ぎます。
固定費を見直す
固定費は一度見直しておくと、余計な出費の有無に気づける可能性があります。
生活のなかで発生する固定費としては、光熱費や水道料金、通信費や保険、サブスクなどが挙げられます。使用量に応じて多少金額の増減はありますが、基本的には毎月発生するはずです。
光熱費・水道料金・通信費などは、現在の契約プランと使用量が見合っているかを確認し、合っていなければプランを変更しましょう。場合によっては、契約先の変更を検討する、という方法もあります。
保険の場合は、加入時から状況が変わっていないかを確認しましょう。サブスクの場合は、契約しているサービスを一度書き出し、最近使っていないものがないか見直すことをおすすめします。
固定費の見直しは、手をつけるまでに気が重く感じられるかもしれませんが、確認や手続きそのものは短期間で終わるものが多いです。さらに、毎日続ける種類の作業ではないため、一度見直せば、翌月以降の支出を継続的に減らせる可能性があります。
まとめ
お金が貯まらない背景には、複数の理由が積み重なっているケースが少なくありません。日々の出費や固定費の支払いなど、まずは自分が何にどれくらい使っているかを把握するところからはじめましょう。
そのうえで、さまざまな固定費の契約を見直したり、収入から先に貯金分を抜いたりするなど、無理なくお金が貯まる習慣を作っていきましょう。
すべてを一度に変える必要はありません。まずは使ってないサブスクを解約するなど、負担の小さいものから試していきましょう。